2013年1月、日銀の金融政策決定会合において、物価目標を2.0%とする決定がされました。その目標を導入した当時の消費者物価指数は、前年比で上昇率がマイナス0.2%であり、まさにデフレそのものでしたが、この異次元的金融緩和策が開始されて以降は、その指標はプラスに転じ、デフレからインフレへと経済の転換がされました。ここでは経済理論に則って、インフレ時に有効な不動産投資のメリットを紹介します。

インフレとは何か?

インフレ(インフレーション)とは、物価が上昇し、つまりモノの値段が上がり、貨幣価値の下落が継続される経済状態のことを言います。
このインフレとなる原因は、大きく分けると2つあります。

一つ目の原因は、景気の上振れ・下振れによるものです。上振れ、つまり好況によって発生するインフレは日本経済史にも多く登場しており、1954年~1973年の高度経済成長下のインフレ、1986年~1992年のバブル経済下のインフレ、2003年~2006年のアメリカ不動産バブル化のインフレ(これを原因としてサブプライムローン問題が顕在化)などが挙げられます。これらは需要が急激に高まり、それに対する供給が追い付かないためにインフレ状態となり、それとともに投機的な思惑が市場に介入することで、更に物価を押し上げたといえます。
逆に、下振れ、つまり不況によって引き起こされるインフレとしては、戦争や天災、世界規模での経済危機が起こり、需要に対してモノが異常に不足してしまう場合をさします。過去の世界大戦では多くの国々が、極度のインフレに見舞われました。このような不況下でのインフレを経済用語ではスタグフレーションといいます。

二つ目の原因は、通貨の供給量の過剰があります。今回のアベノミクスによる金融緩和策のように、市場に多くのお金を投下することで景気を刺激しようとした政策が採用された場合、一時的に市場に出回っているお金の量が、モノの量を超える状況となり物価が上昇します。また、政策によって金利が引き下げられた場合に起きるメカニズムも基本的には同じになります。

資産を守るためのインフレ対策

上で説明したように、インフレとは物価が上昇し、貨幣価値が下がってしまうことをさします。日本においても急激なインフレが再来する可能性は否定できませんし、現在がまさにその始まりなのかもしれません。
本来、投資というものは「利殖」という目的のほかにも、自己の資産を守りリスクに備えるという目的を持っていました。
ある日突然、銀行へ預けてある貯金の価値が半分になってしまったら、どうしますか? そうならないためには、資産を多くの種類に分散させておく必要があります。
特にインフレ対策として効果のある資産の持ち方は、現物資産の形で資産を保有することです。具体的には、不動産、株式、金などの資産に分散させることです。(これらは物価の上昇率を上回る価格の上昇が見込めます。)
このなかでも、不動産は交換価値と同等かそれ以上に利益の配当が期待できる商品です。
代表的なインカムゲインとしては、家賃があります。
この家賃は性質上、大幅な下落リスクはあまりなく、インフレにも比較的強い投資といえます。
先程の例で、貨幣価値が半分になってしまった場合、いきなり家賃が2倍になるわけではありませんが、(急に2倍の家賃に引き上げることは現在の法制化では難しいでしょう。)非常に安定した収入源としてみることができます。

負債もインフレ対策!?

もう一点、見落とされがちな点をご紹介すると、インフレ時には負債が目減りするため、借り手が有利になることが挙げられます。
このことを考えてみると、近い将来にインフレが発生することを予測した場合、あえて借入をして不動産投資を行うことは、とても有効な投資手法と考えられます。
もし資産に余裕がある場合には、マンションなどの賃貸物件を借り入れた資金で経営し、元金の利息に該当する収益を得ることも有効な手段かもしれません。
投資とは資産を守ることが基本です。オフェンスとして機能しなくとも、非常事態が起きた際に、ディフェンスとして機能する不動産こそが、最も本質的な投資といえるのではないでしょうか。