昨今の投資家は、不動産投資による収益よりもむしろ「節税」効果を
重視する傾向が強いといわれています。
しかし一方では、「不動産投資による節税対策は効果が限定的」だと見る向きもあるようです。
実際のところはどうなのでしょうか。

 

不動産に投資することで得られる節税効果の真偽

新築物件についていえば、購入した初年度には、かなりの節税効果が期待できます。
その理由は、「登録免許税」や「不動産取得税」が経費として計上できるため。
ともに投資額としてはかなりの金額になるので、その分だけ税務上の見返りも大きいわけですね。

さらに、「固定資産税」、借入を行う場合はその「金利」、「減価償却費」など、
トータルで見てもかなりの経費を形状できます。
購入後も修繕費や管理費、火災保険料などが発生しますし、とりわけ不動産の経年劣化によって
発生する「減価償却費」は、不動産投資において税務上大きなウェイトを占めています。

 

減価償却費とは

不動産をはじめとする資産は、使用年数を重ねるほどに劣化し、資産価値が減少します。
資産の減少分を「減価償却費」といい、その減少額は経費として計上できます。
いったんは「資産」として計上した不動産が、資産の耐用年数に応じて毎年費用として配分される。
これが減価償却の仕組みです。

 

なぜ今不動産による節税が盛んなのか

日本は今後、かつてない「人口減少」社会を迎えようとしています。
少子高齢化に伴い、これまでのように「不動産で一攫千金」を狙う投資家は減少傾向にあります。
安定志向が強まる中で、収益の拡大よりも現状維持=節税対策を重視する傾向が
顕著になっているわけですね。

とりわけバブル期に失策を講じた投資家は、同じ轍を踏むまいとする意識があるため、
「節税で堅実なリターンを」と消極的に判断するケースが多いようです。

 

ただし不動産が収益を上げなければ節税につながらない

もしもあなたが「不動産に投資して節税しませんか?」と話をもちかけられたら…
まず「セールストーク」だと思って間違いありません。

実際に節税効果を得られるのは、「収益を上げる不動産」に限られます。
マンション、アパート、貸しビル、新築の一軒家…物件の種類に関係なく、
その不動産が安定的に収益を確保できなければ、節税額よりも損益の方が大きくなります。

さらに言えば、不動産投資による収益が順調に拡大した場合も、節税効果は小さくなります。
利益が大きくなれば国に収める税額が増えるわけですから、これは当然の話。
すなわち、不動産で効果的に節税対策を行うためには、

①収入を見込める有望な物件がある

②手元に用途のない資産(現金)が余っている

③投資家として減価償却や固定資産税などの仕組みを熟知している

最低でも以上の3点は押さえておく必要がありそうです。