不動産投資を行う際には、必ず収益シミュレーションを作成しますが、そのシミュレーションどおりに行くか、行かないかのポイントは入居率にあります。
安定的な不動産の運営を行うためには優良な入居者が、長期にわたって入居してくれることが必要不可欠になります。とはいえ、売買物件とは違い、転居がお気軽なのが賃貸物件の魅力。入居者の心をしっかりとつなぎ止めておく方策はあるのでしょうか?
ここでは、入居者の満足度を上げるための方法を紹介します。
長期優良入居者が大切な理由
賃貸アパート・マンション経営は、回転率が良すぎると困ってしまいます。優良な入居者ほどより長く入居してもらうことが何より重要なのです。
それではなぜ、それ程までに長期入居が重要なのでしょうか? それは一度、空室ができてしまうと、2~3カ月以上もの間、収益を生み出さないからです。
賃貸においては、入居者の退去後にリフォーム工事をしてからでないと、次の借主に貸すことができません。
また、解約予告期間は1ヶ月と定められるのが一般的であり、その間は室内を見せることができないため(現入居者が未だいるため)次の借主を探し出すことは難しいといえるでしょう。
なお、賃貸物件というのはその流通が活発なシーズンがあります。そうです。引越しの多い3・4月、新婚さんが多い6月、多くの企業が下半期を終えて異動辞令の出やすい9月です。こういったシーズンを逃してしまうと次の入居者が決定し、お部屋が収益を生み出すのに2~3カ月どころか半年、1年以上かかってしまう場合さえあります。
そのため、「空室を埋める物件力」も大切ですが、「空室をつくらない物件力」が安定した賃貸経営においてはより重要になってくるのです。
顧客満足度が高い物件は空室ができにくい 管理の質を上げる方法
この「空室をつくらない物件力」とは、言い換えれば「顧客満足度の高い物件」です。
しかし、際限のないサービス、たとえば極端な家賃の値引きや採算のあわない設備の導入などは現実的ではありません。
それではどうすればいいのでしょうか? いくつか現実的な顧客満足度を得る方法をみていきましょう。
それは、「管理の質」を高めることです。その内容はハードとソフトの両方があります。ハードに関して言えば、一室ごとの設備の充実が難しい場合、賃貸物件全体としての価値を高める共用設備の充実があります。入居者の属性により効果のある共用設備に違いがありますが、高齢者が多い物件では、バリアフリー化や急な身体の異常を外部発進できる装置の設置、子供や女性の多い物件では防犯カメラの設置、単身物件では24時間ゴミだし可能なステーションや宅配ボックスの設置、ペット物件なら足洗い場の設置などが考えられます。注意点は設備には流行り・廃りがあり、入居者ニーズはいつも変化の過程にあると言う点です。よって、一度設備を設置したらよし、ではなく、常日頃からアンテナを張って情報収集しておくことが大切です。
次にソフト面では「人とのつながり」を感じさせる物件であることです。
その昔、日本では「下宿」という形態が一般的でした。下宿先に住み込む管理人さんが下宿している学生や単身者の健康を気遣ったり、時に悩みや相談を聞いてくれる相手となったりと「人の温もり」を、感じられたものです。
今の時代、下宿のような深い人間関係は敬遠されることもあります。しかし、スマートな方法でそれを感じさせる物件もたくさんあるのです
例えば、ある物件では、共用部の掲示板にエレベーターの検診日など無機質な情報しか掲載していなかったそうです。
ところがある日、集合ポストに目が留まった物件オーナーは入居者の新聞購読数が少ないのに気が付きました。
そこで、入居者たちの役に立てばと、共用掲示板に新聞に入っている近所のスーパーのチラシを張り出したところ、とても評判になり、入居者から感謝の電話をたくさん貰ったそうです。