近年、不動産に投資する女性が増加傾向にあります。投資家=男性という従来のイメージを覆す彼女たちは、将来にどのような展望を抱いているのでしょうか。そして、なぜ投資の対象に不動産を選んだのか。その実情に迫ります。

大きな要因は女性の「超高齢化」と「生涯未婚率」

皆さご存知のように、女性の平均寿命は男性のそれを大きく上回っています(女性が平均で86歳、男性が約80歳)。夫婦がそれぞれ平均寿命を全うするケースを想定してみましょう。女性は夫に死後、約6年間を自活しなくてはなりません。生活の水準を維持するためには、年金に「プラスα」がどうしても欠かせないのです。

そして一方では、女性の「未婚率」も上昇しています。「女性が一人で生きていく」時代が、もはや当たり前のものとして目前に迫っています。女性の方が長生きだからこそ、「老後の備え」をより強く希求するのは当然だといえるでしょう。

それでも低い女性の賃金

残念ながら日本の現状は、「女性に優しい」環境ではありません。女性の自立、高齢化は進んでいますが、男性と同等の労働環境は実現されていないのです。年収では200~300万円の層が圧倒的に多く、女性の大半が「中間層」にまで達していません。特に、シングルマザーを含む未婚者の中に、貧困層が集中しています。

コツコツお金を貯めて老後に備えても、男性と同等の生活水準は確保できない。そして、年金は減額され、受給年齢は引き上げられてしまう…。そんな社会構造が、女性に投資を促しているようです。老後の「安心」を自力で、ちょっとした財テクで勝ち取る方法。その「答え」を女性たちは不動産投資に求めています。

不動産はリスクが低くロングリターン

では、女性たちが株式やFXを投資の対象に選ばないのはなぜでしょうか?その理由は、女性の投資傾向に見て取れます。先述したように、多くの女性は「老後の安心」のために投資します。一般に女性は男性よりも「安心感」を重視する傾向が強く、「ギャンブル」よりも「保険」を、「損得」ではなく「保証」を求めるケースが多いといわれています。

不動産は比較的リスクが小さく、しかもロングリターンを期待できる投資対象です。そうした不動産の特質が、女性の投資傾向には見事に合致します。バブル期には「土地転がし」などと不動産投資がギャンブル視される風潮もありましたが、近年のトレンドは賃貸経営。長くコツコツ収益を上げる、安定型の投資モデルが人気を呼んでいます。