不動産投資を始める際に、まず考えるべきは「自己資金」と「借り入れ」の比率です。
すなわち、自己資金をどのくらい投資するのか、
金融機関ローンをどのような条件(金額と金利)で利用するのか。

もちろん、単純に収益性だけを考えれば、自己資金の比率は高ければ高いほど良いです。
ローンの金利は投資における「コスト」ですから、原則としては「ゼロ」が理想的。
しかし、借り入れを行うことにもいくつか投資上のメリットが存在します。

 

借り入れを行うことで「レバレッジ」効果が生まれる

借り入れを行う最大のメリットは、「レバレッジ」が効くこと。
レバレッジとは、投資用語の一つで、「他人資本を用いることで利益率を高める」ことを意味します。

例えば、利回りの良い物件Aと、あまり収益が見込めない物件Bがあると仮定してみましょう。
投資対象として魅力的なのは当然Aですが、利回りの良い物件というのは、往々にして高額です。
人気物件となりますから、これは当然の話ですよね。

その際、「自己資金だけでは手が出ない」、「投資したいけど予算不足」ということもまた、
よくあるパターン。
そして「物件Aの方が魅力的だけど、妥協してBにする」という選択肢もあり得るでしょう。

しかし、金融機関から借り入れを行えば、物件Aに投資することも可能になります。
すなわち、少ない自己資金にレバレッジ(てこ)を効かせて、大きなリターンを得る。

小さな力に「てこの原理」を応用して、大きな物を持ち上げるように、

少額の自己資金で大きなリターンを得ること

これがレバレッジの仕組みです。

 

 

借り入れによって選択肢やタイミングの「自由度」も広がる

以上のような作用で、レバレッジ効果は投資家に「自由」をもたらします。
購入できる(投資可能な)不動産の選択肢が広がるだけでなく、
修繕やリフォーム、仲介業者など、様々な要素により多くの費用を配分できるため、
「リスクヘッジ」や「付加価値の創出」、万全の「サポート体制」など、
投資家にとって有利な環境を準備することにもつながります。

さらに「時間的な自由」が手に入るのも嬉しいポイント。
本業でお金を貯めて、退職金をもらって60代から不動産投資…という方法もおすすめですが、
借り入れを行えば20代~30代の若年層でも投資をスタート可能です。

仮に利回りが同額だとすると、投資を始めるタイミングは「早ければ早いほど良い」わけですから、
時間軸の観点から見ても収益が大きくなる(レバレッジが効く)ことになります。

 

 

借り入れにはデメリットも存在する

ただし、レバレッジには負の側面もあります。
銀行から借り入れを行えば、当然その返済が収支を圧迫しますし、
金利がコストとして加算されます。

賃貸物件は比較的安定した収入を見込める不動産として人気ですが、
それでも「空室が発生するリスク」は常に存在します。
もし、空室による収支の悪化、ローンの返済、金利の支払などが重なると、
レバレッジは逆の方向に働きます。

イニシャルコスト(自己資金)が少ないからこそ、
ランニングコスト(維持費)が大きくなるわけですね。

空室ばかりで収益の見通しが立たない場合、不動産は売却することで損失を抑えられます。
しかしローンの支払は残ります。
「所有していない不動産のローンを払い続ける」という事態も想定されるため、
「損失の補填が難しくなる」のもまた、レバレッジの副作用といえるでしょう。